皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は北海道新幹線札幌延伸の開業時期の遅れと今後の課題についてです。
〈札幌延伸が確認された時期〉
北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)は2015(H27)年1月の政府・与党申し合わせにおいて2030年度末の完成・開業を目指すことが確認されました。
〈新幹線工事と開業の流れ〉
〈北海道新幹線工事の特徴〉
新函館北斗~札幌間・約212㎞の内、トンネルの総延長距離は約169㎞(17箇所)と全体の約80%を占めています。
ちなみに東海道新幹線は約13%、東北新幹線が約34%、山陽新幹線は約50%です。
〈工事が遅れている主な原因〉
- 羊蹄トンネル・・・岩塊が出現し工事が中断
- 渡島トンネル・・・地質状況が悪く工事の設計変更
- 札樽トンネル・・・掘削残土に含まれているヒ素など有害残土の埋立地確保等の難航による着工の遅れ
また、2024年度から建設労働者にも働き方改革が適用(週40時間・週休2日制等)になり作業時間の減少が主な原因に挙げられます。
トンネル工事が全体の80%(169㎞)を占める中で、山間部の事前調査は色々な制約があるにせよ、鉄道運輸機構は精度の高い調査を十分検討し実施したのか疑問です。
〈建設に必要な予算と費用の負担〉
現時点の新函館北斗~札幌間の工事実施計画認可額は当初想定より約6,500億円増の2兆3,159億円となっています。
- 全国新幹線鉄道整備法によって、建設費を負担する割合が定められており、JR北海道が線路使用料として鉄道運輸機構に支払う割合は66%、残り34%の2/3を国が1/3を北海道と沿線市町村が支払うことになっています。
- 北海道及び沿線市町村は負担額の90%を地方債の発行が認められており、さらに地方債の50%を国が交付税措置とすることになっています。
- 現時点で札幌市は約350億円の負担が見込まれています。
〈札幌延伸に伴う経済波及効果の見直し〉
北海道庁が2013(H25)年に作成した経済波及効果(2038年度末開業)の主な内容は次の通りです。- 「建設投資効果」は総工事費1兆6,700億円から用地費1,223億円を除く実事業費1兆5,477億円をもとに推計されており、建設工事による「生産波及効果」は実事業費の約1.7倍にあたる約2兆5,000億円、「雇用創出効果」は197,082人が見込まれています。
- 2038年度開業時の東北・関東→道央、道南~道央の交流人口の見込みは、札幌延伸がなかった場合の683万人より約83万人増の766万人とされています。そのうち新幹線利用者は、航空機等からの転換などにより約236万人が見込まれています。
- しかし、完成・開業が2038年度末頃になることから、再度、経済波及効果を見直す必要があります。
〈道内のエリア別 経済波及効果〉
〈今後の課題〉
- 国内の人口減少により開業時期が遅くなる程、経済波及効果が小さくなることの対策
- 海外観光客の増加は世界経済の安定が必須
- 工期延長及び工事資材の高騰などによる建設費の増加に伴う沿線自治体の負担増対策
- 平行在来線廃止に伴うバス運転手の確保
- 札幌・新小樽・新倶知安・新八雲各駅前周辺再開発の遅れに対する対策
- 掘削残土の中に含まれるヒ素など要対策残土の受入地確保及び新たな処理方法の検討
- 上記を踏まえた新たな経済波及効果の作成
私はこれらの課題対策を札幌市や北海道・国に働きかけていく所存です。