2025年7月20日日曜日

2026年度・札幌市重点要望

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は札幌市が国に要望する〈2026年度・札幌市重点要望〉の内容についてです。

札幌市議会の大都市税財政制度・DX推進調査特別委員会は、今年5月15日と29日に委員会を開催しました。2026年度・札幌市重点要望について審査してきましたので、その内容をご報告させていただきます。


〈2026年度・札幌市重点要望〉

各省庁及び札幌市内選出衆・参国会議員への概要説明等の要請は、札幌市長が7月30日(水)、札幌市議会は8月4日・5日に行う予定です。

要望事項は6分野42項目、この内10項目は最重要項目(☆印)となっています。


1 子ども・若者

  1. ☆子育てに係る経済的負担の軽減に向けた国による統一的な支援制度の創設
  2.  配置基準の見直しを含む保育士等の処遇改善に向けた支援
  3.  医療型短期入所に係るサービス報酬への支援
  4.  いじめや不登校等の教育現場の課題解決に向けた支援
  5.  GIGAスクール構想に要する経費に係る財源の確保
  6.  学校施設整備に係る国庫補助の拡充及び財源の確保


2 生活・暮らし

  1. ☆除排雪経費に係る国庫支出金の総額確保及び地方交付税措置の拡充
  2.  エネルギー価格の負担軽減に向けた支援
  3.  持続可能な救急医療体制の確保に係る財政措置の拡充
  4.  公立病院の持続可能な経営に向けた診療報酬改定及び財政措置の拡充
  5.  共生社会の実現に向けた公共交通機関や建築物のバリアフリー化等への支援
  6.  難病医療費に係る地方交付税措置の拡充
  7.  マイナンバーカード関連手続きの対応支援及び利便性向上
  8.  高齢・障がい福祉施設等への冷房設備の整備に係る支援
  9.  介護保険の第1号被保険者の保険料抑制や負担軽減措置の拡充
  10.  介護予防・日常生活支援総合事業の上限等に係る制度の見直し


3 安全・安心

  1. ☆国土強靭化へ向けた着実な施策の実施と財政支援
  2.  道路及び治水事業の着実な実施に向けた財源確保
  3.  災害対応機能強化に向けた支援の充実
  4.  上下水道施設の老朽化対策に係る国費支援の着実な実施
  5.  今後の感染症対策


4 経済・スポーツ・文化

  1. ☆GX投資に関するアジア・世界の金融センター実現のための支援
  2. ☆成長分野への投資促進に対する支援
  3.  政府関係機関の地方移転の着実な実施
  4.  物価高克服に向けた事業者への支援
  5.  人出不足分野における人材確保に向けた支援
  6.  道内空港の機能強化に向けた支援
  7.  スノーリゾート実現への支援
  8.  大規模国際競技大会等の誘致・開催に向けた支援
  9.  ウィンタースポーツシティの実現に資する施設の再整備等への支援
  10.  総合型ハイパフォーマンス スポーツセンターの誘致


5 環境

  1.  水素社会の早期実現に向けた支援
  2.  清掃工場等における財源措置
  3.  地域の脱炭素化に向けた支援の拡充


6 都市空間

  1. ☆都市の魅力向上や防災力を高める市街地再開発事業への支援
  2. ☆バス路線維持に関する支援の強化
  3. ☆北海道新幹線の札幌延伸に向けた支援
  4. ☆都心のまちづくりを支える新たな公共交通システム構築に向けた支援
  5. ☆丘珠空港の将来像実現に向けた機能強化
  6.  地下鉄南北線さっぽろ駅改良事業への支援
  7.  「国道5号創成川通」等の骨格道路網の機能強化
  8.  「札幌駅交通ターミナル整備」の促進


以上の項目は各会派によって若干の優先順位の違いはありますが、私も市民生活向上と安心・安全で活力のある札幌市の発展に向け、要望項目の実現に全力を尽くす所存です。 


2025年7月5日土曜日

子ども医療費助成制度の現状と課題

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は子ども医療費助成制度についてです。

札幌市は同制度を1973(S48)年度から、他市区町村と同様に市の単独事業(国の補助なし)として実施しています。

同制度は、子どもの保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、保護者が支払う医療費の一部を札幌市が助成するというものです。

 

【札幌市の子ども医療費助成制度対象年齢の変遷】

年 月 拡 大 内 容
1973(S48)年9月 事業の開始(通院1歳未満、入院3歳未満)
1979(S54)年1月 6歳未満の入院を対象に拡大
1995(H7)年1月~2004(H16)年10月 段階的に6歳到達年度までの通院・入院の助成を対象に拡大
2009(H21)年1月 小学生の入院を対象に拡大
2012(H24)年4月 中学生の入院を対象に拡大
2018(H30)年4月~2020(R2)年4月 段階的に小3までの通院を対象に拡大
2021(R3)年4月 小6までの通院を対象に拡大
2024(R6)年4月 中学生の通院を対象に拡大
2025(R7)年4月 高校生の通院・入院を対象に拡大

【同制度の対象となる保護者の前年所得限度額】

扶養親族数 所得限度額 給与収入額の目安
0人 622.0万円 833.3万円
1人 660.0万円 875.6万円
2人 698.0万円 917.8万円
3人 736.0万円 960.0万円

【 A)助成対象とB)窓口負担】

A)通院・入院(薬局含む)
B)初診時一部負担金 医科580円、歯科510円
訪問看護医療費の患者一部負担額は療養費の1割(1カ月3,000円限度)を控除した額を助成します。

【助成を受けるためには】

医療費助成を受けるためには、札幌市から事前に「子ども医療費受給者証」の交付を受け、医療機関等へ子どもの健康保険情報を確認できるものと一緒に提示する必要があります。

各区役所の福祉助成係で受給者証の交付申請をしてください。

この時に必要なものは保護者及び子どもの次のいずれかです。

①マイナ保険証
②健康保険証
③健康保険組合の保険者が発行した資格確認書など

例えば保護者が国民健康保険に加入している場合、子どもの出生届を区役所に提出する時に福祉助成係で申請してくださいとの説明があります。

会社の健康保険組合に加入している保護者は、会社に出生届を提出し、子どもの保険証ができてから区役所の福祉助成係に申請することになります。

【全国1,741市区町村の実施状況(2024年4月1日時点)】

対 象 年 齢 通 院 入 院
就学前
12歳の年度末
12 (市区町村)
11
1 (市町村)
12
15歳の年度末(札幌市)
*18歳の年度末
19歳~24歳の年度末
263
1,448
7
263
1,448
7
所得制限なし
所得制限あり(札幌市)
1,645
96
1,643
98
自己負担なし
自己負担あり(札幌市)
1,266
475
1,358
383
*札幌市は2025(R7)年度から対象年齢を18歳までに改善しています。

【札幌市の対象者と予算】

  1. 札幌市の0歳から18歳までの人口は約25万人
  2. 子ども医療費助成の対象者数は約22万人(生活保護世帯・1人親家庭・重度障がい児は除く)
  3. 保護者の所得により対象外となる数は約3万人
  4. 年間予算は全体で約70億円(内訳は未就学児~約27億円、小学生~約33億円、中高生~約10億円)
  5. 北海道から約13億円の補助あり
  6. 保護者の所得制限を撤廃すると約10億円増

【今後の課題】

  1. 札幌市の所得制限及び、自己負担の撤廃が急務です。
  2. 子ども医療費助成制度は全国1,741市区町村で実施していますが、先程の表(全国1,741市区町村の実施状況)のように、住んでいる地域によって助成内容に差異が生じています。
  3. その理由は各市区町村が単独事業として取り組んでいるため、首長の考え方と税収等による財源、対象となる人口の違いがあるからです。
  4. しかし、一番の問題はこれまで国が1円も全国の実施市区町村に補助金を出していないことにあります。
  5. 国はその理由として未就学児の健康保険窓口負担を2割(大人は3割)にしていることや、全国の利用者の受診行動を見極めるためなどと言っています。
私は子ども医療費助成をはじめ、学校給食費の無償化や保育園の保育料(保護者負担)など、全国の市区町村の財政状況等により差異が生じていることを改善する必要があると考えます。国による統一的な制度、創設実現のために全力を尽くす所存です。