皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は今後の札幌市雪対策計画についてです。
〈札幌市の年間累積降雪量〉
過去30年間の平均値は約5mです。
世界でも人口100万人以上の大都市で年間累積降雪量が約5mの都市は札幌市だけです。
〈札幌市の過去40年間の雪対策計画〉
札幌市は、これまで4次にわたり10年計画を策定し、除排雪作業を実施してきました。
①1991(H3)年策定の第1次計画「雪さっぽろ21計画」
同計画では、社会情勢として人口の増加や冬期における都市化の進展、道路管理延長の大幅な増加に対応するため除排雪のレベルアップを目指した計画を定め、
- 除雪水準の確立
- 下水道施設を活用した「流雪溝」・「融雪管」・「融雪槽」等の整備
を進めてきました。
②2000(H12)年策定の第2次計画「札幌市雪対策基本計画」
同計画では社会情勢として人口増加の減速、少子高齢化の兆候、環境対策としてのスパイクタイヤの使用禁止の法制化や市民ニーズ等を踏まえ、
- 雪さっぽろ21計画を継承した計画
- 環境への配慮
- 雪に関する情報共有体制の構築
などが新たに加わりました。
③2009(H21)年策定の第3次計画「札幌市冬のみちづくりプラン」
同計画における社会情勢として人口増加の減速、少子高齢化の進行、公共事業に対する投資額の減少等に伴う除排雪に携わる建設業の経営悪化、市民ニーズの多様化などを踏まえ、市民との協働による持続可能な雪対策を推進するために、
- 違法駐車、道路への雪出し等の冬の市民生活ルール確立
- 排雪量の抑制
- 夏と冬の道路管理一体化に向けた業務形態の見直し
など持続可能な雪対策を進める項目が加わりました。
④2018(H30)年策定の第4次計画「札幌市冬のみちづくりプラン2018」
同計画における社会情勢として近い将来、市内の人口が減少に転じることや除排雪業者を含めた働き方改革、除排雪に従事する年齢の高齢化と減少、除排雪予算の増大、町内会加入率の低下などを踏まえ安心・安全で持続可能な冬の道路環境を実現するために、
- ICTの活用
- 大雪に備えた除排雪体制の確保
- 凍結路面対策
- 雪処理施設の安定的・効果的な運用
などを重点施策と位置付けました。
〈札幌市の道路除排雪キロ数と予算〉
札幌市の昨年度の除雪予算は約280億円で、そのうち道路除雪費として約220億円(81%)、雪対策関係費(ロードヒーティング維持管理費、除雪機械等維持管理、雪対策施設整備等)で約50億円(19%)となっています。
今年度の予算は約285億円で、増額分はほとんどが人件費と燃料代の高騰です。
具体的には以下のとおりです。
- 札幌市が夏冬管理する道路管理延長は約5,600㎞のうち除雪計画延長は約5,500㎞(予算は約38億円)
- 歩道除雪は幅員2m以上の歩道約4,100㎞のうち約3,050㎞(予算は約9億円)
- 幹線道路等の排雪延長は約1,400㎞(予算は約77億円)
- 通学路の排雪延長は約270㎞
- 交差点の排雪箇所は16,255箇所
- 雪堆積場管理費82箇所(予算は約35億円)
- パートナーシップ排雪費(予算は約27億円)
〈除雪機械の保有状況〉
- 札幌市保有車(大型及び歩道用ロータリー車、グレーダ凍結防止剤散布車など)約500台
- 除雪事業者(建設業等)保有車(大型ロータリー車、除雪ドーザ、グレーダなど)約1,000台
〈パートナーシップ排雪等の新たな手法〉
- 札幌市は町内会のご協力を頂いて、パートナーシップ排雪の標準断面排雪量と地域支払い額を7割程度に抑えた3種類の手法を2017(H29)年から実証実験し、2022(R4)年から運用しています。
- 2023(R5)年より生活道路(住宅街の道路)の削り出し路線と積込路線を設定し、作業の効率化に向けた検証をおこなっています。
〈今後10年間の雪対策計画〉
札幌市は約10年周期で「雪対策計画」を策定してきました。
2025年7月からこれまでの「検討委員会」から札幌市の条例に基づく「札幌市雪対策審議会」を設置します。
審議会は約12名の有識者、市民(公募)、除雪協会等の代表者と市は事務局として、まちづくり政策局を中心に総務局、財政局、市民文化局、経済・観光局、建設局によって構成され、2026年度に「基本方針」を、2027年度には新たな「雪対策計画」づくりを進めることになっています。
〈今後の課題〉
- 札幌市の冬期間(12月~3月)を雪害の期間として新たな基本計画に明記する必要性
- 高齢の単身世帯が増えることを考慮した除雪計画
- 冬期間に発生する自然災害時の市民避難及び火災、救急車の出動を考慮した計画
- 効率化等による除雪予算の削減はしないこと
- 除雪に従事する人材及び企業の育成、支援の充実
- 市との情報共有、市民のマナー向上
私は、以上の具体的な項目内容を実現するために皆様と連携し全力を尽くす所存です。