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2025年6月6日金曜日

新幹線札幌延伸工事の完成・開業の遅れと今後の課題について

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は北海道新幹線札幌延伸の開業時期の遅れと今後の課題についてです。


〈札幌延伸が確認された時期〉

北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)は2015(H27)年1月の政府・与党申し合わせにおいて2030年度末の完成・開業を目指すことが確認されました。


〈新幹線工事と開業の流れ〉



〈北海道新幹線工事の特徴〉

新函館北斗~札幌間・約212㎞の内、トンネルの総延長距離は約169㎞(17箇所)と全体の約80%を占めています。
ちなみに東海道新幹線は約13%、東北新幹線が約34%、山陽新幹線は約50%です。

〈工事が遅れている主な原因〉

  • 羊蹄トンネル・・・岩塊が出現し工事が中断
  • 渡島トンネル・・・地質状況が悪く工事の設計変更
  • 札樽トンネル・・・掘削残土に含まれているヒ素など有害残土の埋立地確保等の難航による着工の遅れ

また、2024年度から建設労働者にも働き方改革が適用(週40時間・週休2日制等)になり作業時間の減少が主な原因に挙げられます。
トンネル工事が全体の80%(169㎞)を占める中で、山間部の事前調査は色々な制約があるにせよ、鉄道運輸機構は精度の高い調査を十分検討し実施したのか疑問です。


〈建設に必要な予算と費用の負担〉

現時点の新函館北斗~札幌間の工事実施計画認可額は当初想定より約6,500億円増の2兆3,159億円となっています。

  1. 全国新幹線鉄道整備法によって、建設費を負担する割合が定められており、JR北海道が線路使用料として鉄道運輸機構に支払う割合は66%、残り34%の2/3を国が1/3を北海道と沿線市町村が支払うことになっています。
  2. 北海道及び沿線市町村は負担額の90%を地方債の発行が認められており、さらに地方債の50%を国が交付税措置とすることになっています。
  3. 現時点で札幌市は約350億円の負担が見込まれています。

〈札幌延伸に伴う経済波及効果の見直し〉

北海道庁が2013(H25)年に作成した経済波及効果(2038年度末開業)の主な内容は次の通りです。
  1. 「建設投資効果」は総工事費1兆6,700億円から用地費1,223億円を除く実事業費1兆5,477億円をもとに推計されており、建設工事による「生産波及効果」は実事業費の約1.7倍にあたる約2兆5,000億円、「雇用創出効果」は197,082人が見込まれています。
  2. 2038年度開業時の東北・関東→道央、道南~道央の交流人口の見込みは、札幌延伸がなかった場合の683万人より約83万人増の766万人とされています。そのうち新幹線利用者は、航空機等からの転換などにより約236万人が見込まれています。
  3. しかし、完成・開業が2038年度末頃になることから、再度、経済波及効果を見直す必要があります。
〈道内のエリア別 経済波及効果〉


〈今後の課題〉

  1. 国内の人口減少により開業時期が遅くなる程、経済波及効果が小さくなることの対策
  2. 海外観光客の増加は世界経済の安定が必須
  3. 工期延長及び工事資材の高騰などによる建設費の増加に伴う沿線自治体の負担増対策
  4. 平行在来線廃止に伴うバス運転手の確保
  5. 札幌・新小樽・新倶知安・新八雲各駅前周辺再開発の遅れに対する対策
  6. 掘削残土の中に含まれるヒ素など要対策残土の受入地確保及び新たな処理方法の検討
  7. 上記を踏まえた新たな経済波及効果の作成
私はこれらの課題対策を札幌市や北海道・国に働きかけていく所存です。





2024年4月5日金曜日

北海道新幹線札幌延伸開業後の課題

 皆様こんにちは札幌市議会議員ふじわら広昭です。
 今回は、北海道新幹線札幌延伸開業後のトンネルの課題についてです。

 北海道新幹線新函館北斗駅と札幌駅間は約211㎞、内トンネルは約150㎞で約80%です。
 この内、札幌市内は約18㎞で、JR札幌駅のホームを除くとすべてがトンネルです。

【札幌市内のトンネル】

  1. 星置工区 約4.4㎞ ナトム工法
  2. 富岡工区 約4.5㎞ ナトム工法
  3. 札幌工区 約9.0㎞ シールド工法

 特に札幌工区(宮の沢~札幌)は、北5条西10丁目から高架で地上に出てJR札幌駅付近まで雪対策のため特殊な透明のアクリル樹脂のトンネルになる予定です。

 現在、鉄道各社はトンネル内走行中に車両が火災になった場合は、トンネルを抜け出るか、最寄りの駅まで走行し、乗客の避難と消火活動をすることになっています。

 新幹線車両は室内外ともに不燃性の材質で作られていますが、最近は石油類を車内に持ち込み、人や手荷物にかけて火災を発生させる事例が起きています。

 また、道内の新幹線トンネルで火災や事故が発生した場合は、札幌市消防局が最寄りの広域消防と連携し対応することになっています。

 札幌工区はシールド工法のため宮の沢に立抗を掘ってから掘削し、完成後は立抗を救助隊などがトンネルに入る動線および乗客の避難動線として活用することになっています。

【その際の課題】

  1. 立抗内を陽圧にするなどして、煙が入らないようにすること
  2. 立抗下のトンネルは地下約30m(16階のビルに相当)付近のため地上からの無線交信ができないので、非常電話(約100m間隔)を設置する必要があること
  3. 新幹線車両から乗客が避難する際、安全、迅速に移動できるバリアフリー対策が必要であること

 「安全は輸送の最大の使命」であることから、私はこれからも北海道新幹線開業後の安全対策を注視していく所存です。

2023年7月20日木曜日

北海道新幹線の課題

 皆様こんにちは、札幌市議会議員、ふじわら広昭です。

 今回は7月13日の札幌市内の北海道新幹線延伸工事現場の視察報告です。
JR新函館北斗~JR札幌駅間は、約211㎞、うちトンネル区間約170㎞(80%)の工事が24時間、2交替制で行われています。
 そのうち、札幌市内の同工事距離は約17㎞、4区工に分けて昨年4月から始まっています。


 視察した星置工区は今年4月から本坑掘削が始まり、現在約198mが掘削済となっています。

 札幌市内、約17㎞のトンネル工事で、約230万㎥の掘削残土(札幌ドーム約1.4杯分)が発生します。※札幌ドーム=容積約158㎥
 そのうち、約115㎥が、「ヒ素」など基準濃度以上の有害物質を含む残土(札幌ドーム約0.7杯分)が発生することを鉄道運輸機構が公表しています。


 札幌市内の工区で発生する約115万㎥の有害残土のうち、約90万㎥は手稲山口の札幌市ゴミ埋立予定地の一画が受け入れています。
 同地区は地盤が悪いので「サンドコンパクションパイル工法」を採用し、約16,000本の砂杭を深さ5~20mに打設し地盤改良を行っています。



〈今後の課題として〉

  1. 残り約15万㎥の有害残土の受け入れ地を早期に確保しなければ、今後のトンネル工事に支障をきたします。
  2. 2024年度から、法律により建設業も週40時間労働の適応となるため、トンネル工事を2交替制から3交替制にするにあたり、技術者や作業員の確保が必要となることが、問題となっています。