2025年7月5日土曜日

子ども医療費助成制度の現状と課題

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は子ども医療費助成制度についてです。

札幌市は同制度を1973(S48)年度から、他市区町村と同様に市の単独事業(国の補助なし)として実施しています。

同制度は、子どもの保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、保護者が支払う医療費の一部を札幌市が助成するというものです。

 

【札幌市の子ども医療費助成制度対象年齢の変遷】

年 月 拡 大 内 容
1973(S48)年9月 事業の開始(通院1歳未満、入院3歳未満)
1979(S54)年1月 6歳未満の入院を対象に拡大
1995(H7)年1月~2004(H16)年10月 段階的に6歳到達年度までの通院・入院の助成を対象に拡大
2009(H21)年1月 小学生の入院を対象に拡大
2012(H24)年4月 中学生の入院を対象に拡大
2018(H30)年4月~2020(R2)年4月 段階的に小3までの通院を対象に拡大
2021(R3)年4月 小6までの通院を対象に拡大
2024(R6)年4月 中学生の通院を対象に拡大
2025(R7)年4月 高校生の通院・入院を対象に拡大

【同制度の対象となる保護者の前年所得限度額】

扶養親族数 所得限度額 給与収入額の目安
0人 622.0万円 833.3万円
1人 660.0万円 875.6万円
2人 698.0万円 917.8万円
3人 736.0万円 960.0万円

【 A)助成対象とB)窓口負担】

A)通院・入院(薬局含む)
B)初診時一部負担金 医科580円、歯科510円
訪問看護医療費の患者一部負担額は療養費の1割(1カ月3,000円限度)を控除した額を助成します。

【助成を受けるためには】

医療費助成を受けるためには、札幌市から事前に「子ども医療費受給者証」の交付を受け、医療機関等へ子どもの健康保険情報を確認できるものと一緒に提示する必要があります。

各区役所の福祉助成係で受給者証の交付申請をしてください。

この時に必要なものは保護者及び子どもの次のいずれかです。

①マイナ保険証
②健康保険証
③健康保険組合の保険者が発行した資格確認書など

例えば保護者が国民健康保険に加入している場合、子どもの出生届を区役所に提出する時に福祉助成係で申請してくださいとの説明があります。

会社の健康保険組合に加入している保護者は、会社に出生届を提出し、子どもの保険証ができてから区役所の福祉助成係に申請することになります。

【全国1,741市区町村の実施状況(2024年4月1日時点)】

対 象 年 齢 通 院 入 院
就学前
12歳の年度末
12 (市区町村)
11
1 (市町村)
12
15歳の年度末(札幌市)
*18歳の年度末
19歳~24歳の年度末
263
1,448
7
263
1,448
7
所得制限なし
所得制限あり(札幌市)
1,645
96
1,643
98
自己負担なし
自己負担あり(札幌市)
1,266
475
1,358
383
*札幌市は2025(R7)年度から対象年齢を18歳までに改善しています。

【札幌市の対象者と予算】

  1. 札幌市の0歳から18歳までの人口は約25万人
  2. 子ども医療費助成の対象者数は約22万人(生活保護世帯・1人親家庭・重度障がい児は除く)
  3. 保護者の所得により対象外となる数は約3万人
  4. 年間予算は全体で約70億円(内訳は未就学児~約27億円、小学生~約33億円、中高生~約10億円)
  5. 北海道から約13億円の補助あり
  6. 保護者の所得制限を撤廃すると約10億円増

【今後の課題】

  1. 札幌市の所得制限及び、自己負担の撤廃が急務です。
  2. 子ども医療費助成制度は全国1,741市区町村で実施していますが、先程の表(全国1,741市区町村の実施状況)のように、住んでいる地域によって助成内容に差異が生じています。
  3. その理由は各市区町村が単独事業として取り組んでいるため、首長の考え方と税収等による財源、対象となる人口の違いがあるからです。
  4. しかし、一番の問題はこれまで国が1円も全国の実施市区町村に補助金を出していないことにあります。
  5. 国はその理由として未就学児の健康保険窓口負担を2割(大人は3割)にしていることや、全国の利用者の受診行動を見極めるためなどと言っています。
私は子ども医療費助成をはじめ、学校給食費の無償化や保育園の保育料(保護者負担)など、全国の市区町村の財政状況等により差異が生じていることを改善する必要があると考えます。国による統一的な制度、創設実現のために全力を尽くす所存です。