2025年12月5日金曜日

ヒグマについて

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回はヒグマについてです。


〈北海道のヒグマの地域個体群区分〉

① 渡島半島地域個体群
② 積丹・恵庭(石狩西部)地域個体群
③ 天塩・増毛地域個体群
④ 道東・宗谷地域個体群(更に西部と東部に分割して管理)
⑤ 日高・夕張地域個体群

※札幌市は②に該当します。


〈札幌市内の出没状況〉

2019年 196件
2020年 95件
2021年 185件
2022年 162件
2023年 227件
2024年 99件
2025年 361件(12月1日現在)


〈地域別に見た出没状況〉

① 2012~2016年度
  1)市街地   12%
  2)市街地周辺 55%
  3)森林    33%

② 2017~2021年度
  1)市街地   16%
  2)市街地周辺 63%
  3)森林    21%


〈札幌市におけるヒグマの出没傾向〉

  1. 札幌市内でヒグマは主に森林を有する6区(手稲区・西区・中央区・南区・豊平区・清田区)で出没し、森林と市街地の境界付近のほか、森林からつながる河川やその周辺の緑地付近で特に出没が多くなっています。
  2. ヒグマの生息域の森林と人口密度の高い市街地が広範囲に接しているという札幌市の特性が、市街地に出没する要因といえます。
  3. 2015年度の生息調査では市街地近郊の森林で雌10頭、雄3頭を識別しています。
  4. その後、2020年度の調査では雌16頭、雄10頭を識別しています。


〈市民のヒグマに対する意識〉

札幌市は2022年6月にヒグマについての市民意識調査を実施しています。

その主な結果は以下のとおりです。

  1. 90%以上の人がヒグマ出没に対して「関心がある」と回答しています。
  2. 《ヒグマ出没時の現地調査や出没情報の提供》について「十分だと感じている」と答えた人は50%近くいる一方で、《農家や家庭菜園むけの電気柵普及事業やヒグマ講座等》については40%以上の人が「知らない」と回答しています。
  3. 地域や個人でできるヒグマ対策として「ゴミ出しルールを守ることを実践している」と答えた人は87%ですが、《見通しの悪いやぶの草刈り及び家庭菜園を電気柵で囲うこと》や《ヒグマについて学ぶイベントの参加など》については約30%の人が「知らない」と回答しました。
  4. ヒグマ出没の際に取るべき対策として「市街地・住宅地などの人の居住区域で人身被害の恐れがあれば駆除」することを選択した人は約40%、「理由によらず駆除」すること選択した人を含めると約70%となります。


〈札幌市の各ゾーン(地域)に応じたヒグマ対策〉

① 「市街地ゾーン」・・・人間の安全を最優先とし、ヒグマの侵入・定着を許容しない地域。出没時は基本的に排除する。

  1. 森林がない北区・東区の全域及び市街地を流れる河川や緑地部分。
  2. 対策例として、出没した場合は捕獲を基とした対応を行う。
  3. ヒグマを寄せ付けない対策として草刈りなどを行う。

② 「市街地周辺ゾーン」・・・ヒグマの侵入を抑制し、定着を防止する地域。「森林ゾーン」の境界部分では緩衝帯を整備し防除を徹底する。

  1. 対象地域は、農地・一部の公園・集落など。
  2. ヒグマを寄せ付けない対策として、畑等への電気柵の設置、放棄果樹の伐採、草刈など。
  3. 有害性が認められるヒグマは捕獲対応。

③ 「都市近郊林ゾーン」・・・ヒグマの定着を抑制する地域で、自然歩道などが整備された比較的人の利用が多い地域。

  1. 「市街地ゾーン」に接している森林地域。
  2. ヒグマにとって居心地の悪い環境をつくる対策、草刈り・捕獲技術者による見回りなど。

④ 「森林ゾーン」・・・ヒグマの生息を担保する地域。「都市近郊ゾーン」より奥の森林。

  1. 登山者などへの注意喚起。
  2. ヒグマを街に寄せ付けない対策としてゴミの管理等を行う。


〈出没したヒグマへの対応〉

札幌市では、ヒグマが人に対して示した反応のほか、フンや足跡・爪跡などの痕跡の状況、農作物被害の有無といった情報をもとに判断した《ヒグマの有害性レベル》と《出没したゾーン》に応じて対応します。

有害性判断表

レベルⅠ 1)人を見ると逃げる。   2)出没時間が主に夜間。
レベルⅡ 1)たびたび目撃される。  2)昼間に目撃される。
3)単発的に農作物・ゴミ・食料を漁る。
レベルⅢ 1)追い払っても逃げない。 2)農作物を何度も食害する。
3)人目を気にせず食糧を漁る。
レベルⅣ 1)人間を攻撃した。    2)積極的に近づいてくる。



〈基本行動方針表〉

基本行動方針表


〈近年の特徴〉

近年は地球温暖化等による異常気象でクマの餌となる植物等の不作により人里近くに出没しています。


〈今後の課題〉

  1. ゴミステーション対策の強化
  2. ICT(情報通信技術)による監視体制の強化
  3. 捕獲事業者の処遇改善
  4. 電気柵の設置拡大
  5. ヒグマの生息調査の早急な実施と今後の対策改善への活用
  6. 札幌市のヒグマ担当職員の増員
  7. 近隣11市町村との連携した対策の具体化


今年は12月1日現在、ヒグマの出没件数は361件、毎日1件は出没している状況にあり、市民の不安は増大しています。

現在、出没しているのは、南区・西区・中央区が多発していますが、石狩市や当別町と隣接している北区・東区等についても対策を強化していかなければなりません。


私は今後も札幌市のヒグマ対策を充実・強化し市民の安全・安心な暮らしを守るために全力を尽くす所存です。