皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は有機フッ素化合物(PFAS)についてです。
有機フッ素化合物(PFAS)はこれまで沖縄の米軍基地及び同周辺で検出されていることが報道されていましたが、これは札幌市をはじめ全国の自治体に共通する課題です。
日本国内では今から約24年前まで様々な業界で利用され、例えばフライパンの表面加工、泡消火薬剤等に使用されていました。
PFASは約1万種類以上の物質がありの代表的なものとしてPFOSとPFOAがあります。
【PFOSとPFOAの用途と特徴】
- PFOSは半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤等に使用されていました。
- PFOAはフライパンのフッ素ポリマー加工剤、界面活性剤等に使用されていました。
- 上記の化合物の共通している特徴は難分解性、生物蓄積性、長距離移動性があり北極圏で存在が確認されています。
2009(H21)年以降、環境中での残留性や健康影響の懸念から国際的に規制が進み、現在、日本を含む多くの国で製造・輸入が禁止されています。
【規制の状況】
- 日本ではPFOSは2010(H22)年、PFOAは2021(R3)年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づき製造・輸入等が原則禁止されています。
- 規制される前に製造された物でPFOS及びPFOAを含有する場合は国が定め基準に従い漏れることのないよう保管し、万が一漏れた場合には回収する等、厳格な管理を義務付けされています。
- しかし、札幌市も含め全国の自治体等では官民での使用及び保管状況や処理状況は聞き取り調査程度で現地確認、書類等の確認はほとんどしていないと思います。
【人への健康影響】
- PFOSやPFOAの身体への影響はコレステロール値の上昇、発がん、免疫等との関連が報告されていますが、どの程度の量が身体に入ると影響が出るのか、規制がはじまって4年程度なので確定的な知見はありません。
- ちなみに環境省は水道水に1リットルあたり50ナノグラム以下であれば毎日2リットル、一生飲み続けても健康への悪影響が生じないと考えられるレベルと言っていますが疑問を感じます。
- 札幌市水道局の資料を見ますと年度に4回の検査をしており、原水及び給水栓水で定量下限値未満となっていますが今後、具体的な数値を確認する必要があります。
【札幌市内の河川の状況】
- 2009(H21)年及び2010(H22)年国立環境研究所と各自治体の衛生研究所が参加したPFASの環境汚染実態調査において、丘珠2号川の下流に位置する環境基準補助点(第二伏籠川橋)で44ナノグラム/Lが検出されています。
- 追加の調査により丘珠2号川の丘珠空港周辺において、現在の暫定指針値を上回る最大18,000ナノグラム/L(指針値の約360倍)のPFOSが検出されています。
- 2023(R5)年度から行っている札幌市の調査では、丘珠2号川の下流に位置する環境基準補助点(茨戸橋)で5.3ナノグラム/Lと暫定指針値の超過はないと公表しています。
- 丘珠空港周辺の今回の河川は普段、水量が極めて少ない所であり、例えばPFOSの不法投棄等が考えられます。
【国及び札幌市の監視基準】
- 環境省は2021(R3)年に「環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準について」を定め年度に4回の測定調査をすることになっています。
- 札幌市は北海道から指定された環境基準点15箇所及び環境基準補助点1箇所の測定調査を今年7月に実施しており、近々公表する予定です。
私は議会で今後もPFOS・PFOAの測定調査結果及び官民の同管理状況等を監視していきます。