2024年10月20日日曜日

情報システム標準化と個人情報保護について

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は情報システムの標準化と個人情報保護についてです。

国は2021年9月1日に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律を施行しました。

これに基づき、全国の市町村に住民基本台帳をはじめとする政令で定める20業務について、標準準拠システムへの移行を義務づけています。


【標準準拠システムの移行方式】

  1. 既存のベンダー(システムを構築・運用する事業者)ではない別のベンダーが提供する標準準拠システムへ移行
  2. または現行システムの改修により標準化対応

上記のうちいずれかを選択することになっています。


【札幌市の選択】

  1. 選挙、就学事務、国民健康保険、後期高齢者医療保険、国民年金の5業務は別のベンダーが提供するシステムに移行
  2. 上記以外の住民記録、固定資産税、個人住民税、法人市民税、軽自動車税、印鑑登録、介護保険、児童手当、障害者手当等は現在のシステムを改修し標準化対応


【個人情報保護対策】

以前に、関西の中核市で給付金支給事務の受託者の社員が、市民約46万人の住民記録情報や税情報のデータが入ったUSBメモリーを紛失した事件がありました。

国はこうした事件の対策として、昨年4月に施行した「改正個人情報保護法」で行政機関の長等は保有個人情報の漏洩、滅失等の防止その他の保有個人情報の安全管理を義務づけています。

札幌市は昨年、個人情報取扱事務委託等の基準を策定しました。


【札幌市の個人情報取扱事務委託等の基準(一部)】

  1. 住民記録、税情報等の基幹系システムの開発改修・運用保守業務は札幌市の施設で行って入退室の管理、使用する機種の限定、市職員が常駐する場所での作業とする。
  2. データ入力業務及び印刷OS業務の委託先事務所は、契約締結時に作業場所ヘ実地検査を行い合格した場合に契約する。
  3. 選挙人名簿、戸籍等は関係する局が基幹系システムの開発改修・運用保守業務を行うが、事前の実地調査し安全管理基準に適合しているか確認し年に1回作業場所に検査に入る。 


標準化対象のシステムには、住民記録台帳や税といった非常に重要な大量の個人情報が入っていますので、私はこれからの標準化移行改修システム作業をしっかりと監視していきます。

2024年10月5日土曜日

札幌市の入札制度の問題点について

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は札幌市の公共工事、役務等の入札制度についてです。

札幌市の公共工事の発注工種は土木、下水道、舗装、造園、建築、電気、管に区分しています。
さらに登録会社を資本金、過去の工事実績等に基づき点数を付け、発注する工事に応札できる等級(ランク)を付けて区分しています。


【舗装工事における札幌市と北海道の比較】

札幌市はA等級の会社を850点以上、応札できる金額は2,000万円以上としています。
B等級の会社は849点以下、応札できる金額は3,000万円未満としています。

北海道はA等級の会社を1,060点以上、応札できる金額は6,000万円以上としています。
B等級は1,060点未満、応札できる金額は6,000万円未満としています。

札幌市に登録している会社は448社、その内A等級は128社、B等級は320社です。
北海道に登録している会社は道内全体で917社、その内A等級は126社、B等級は791です。

北海道の石狩振興局と札幌市を比較すると石狩振興局への登録会社は215社、その内A等級は20社、B等級は195社です。

札幌市は上記のとおりA等級とB等級の会社が石狩振興局より多い状況にあります。


【問題点】

  1. 札幌市に登録している会社数が多いのは、舗装工事を本業としない土木系の会社登録を認める緩い基準となっているためです。
  2. 舗装工事を本業としない会社の中には、同工事に必要な技術者及び最低限必要な機械等を持たず、入札で受注した際は舗装工事を本業とする会社に下請けさせることを認めているためです。
  3. 札幌市は、他の工種と同様に舗装工事でもA等級とB等級の発注金額が一部重なっていることも改善する必要があります。
  4. 札幌市の舗装工事A等級内及びB等級内の最高と最低点数の会社の格差があまりにも有りすぎることです。


【今後の課題】

  1. 上記の問題を放置し続けると、舗装工事を本業とする会社の経営体力が弱くなり会社規模の縮小や廃業等が懸念されます。
  2. このことにより札幌市が管理する道路の路面状態悪化が懸念されます。


次は公共工事のフレックス工期(余裕期間制度)についてです。

【公共工事のフレックス工期(余裕期間制度)】

この制度は発注があらかじめ設定した全体工期内で受注者が工事の始期と終期を選択して契約を締結できます。


【フレックス工期のメリット】

  1. 柔軟な工期設定等を通じて受注者に技能労働者や建設資材等の確保を計画的に準備できる時間的な余裕が生じます。
  2. 受注者が自ら工期を設定することにより効率的で円滑な施工が可能となります。

【札幌市や北海道の取組状況】

  1. 北海道では2016年から本格実施し2021年度の実施率は全工種で97.8%に達しています。
  2. 札幌市では2018年から試行し現在6年が経過していますが本格実施に至らず2023年の実施は約26%にとどまっています。

【札幌市の課題】

  1. 全国的に建設業界では技術者や技能労働者不足が深刻な問題となっており、札幌市も同様で入札不調(応札業者がいない状況)が多くなっいます。
  2. フレックス工期の本格実施を早く導入しないと本格実施している国、北海道等に業者が重点を置き札幌市の公共工事が敬遠されることにつながります。

【今後の取組】

  1. 工期の短い工事等、メリットの少ない工事等以外は全て対象にすべきです。
  2. フレックス工期の適応については、札幌市の経費負担もなく受注者側の人材確保と円滑かつ効率的な施工が可能であるため札幌市は早く本格実施をすべきです。

札幌市は国や北海道及び他都市で導入している取組を「試行」、「検討」、「調査」等と言って一定期間経過しても本格実施の判断、決断をしない傾向が伝統となっています。

私はこれからも入札制度の改善をはじめ、市政の課題前進と解決に向け全力を尽くす所存です。