皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は札幌市役所・新本庁舎の検討についてです。
1「現在の本庁舎の概要」
- 本庁舎は1969(S44)年5月12日に着工し、1971(S46)年10月31日に竣工。今年で54年目になります。
- 本庁舎は地下2階・地上19階・高さ78m・総床面積42,300㎡です。
- 当時の総工事費は約42億円です。
- 現在、外部(民間ビル)の賃借に年間約5億8,0000万円が支出されています。
2「札幌市役所本庁舎あり方検討会の設置と協議結果」
検討委員会は大学の教授や建築等の専門家5名で構成し、事務局は札幌市の関係部局及びコンサルタント会社です。
- 第1回検討委員会は2024年10月22日に開催され、現庁舎が抱えている課題を把握し、重要と考えられる課題について議論されました。
- 第2回検討委員会は2025年1月15日に開催され、本庁舎の整備パターン及び比較に必要となる視点を整理し、整備パターンごとの可否及び定性的な項目についての評価がおこなわれました。
- 第3回検討委員会は2025年3月12日に開催され、本庁舎の建替えか改修かの方針を決定していく上で必要な下記の提言をいただきました。
3「今後の庁舎のあり方について」
- 現庁舎の主な課題は「耐震性能」「防災拠点機能」「劣化状況」「設備更新状況」「狭あい度」「外部ビルへの分散」などが上げられています。
- これらの課題を解決するための整備方法を建替えパターンで2案、改修パターンで2案の合計4案について検討されました。
- 4案を比較するために評価項目を設定し評価がおこなわれました。
- 定性的な評価では「災害時機能継続」「行政サービスの向上」「移転の円滑化」等10項目を設定しました。
- 定量的な評価では「初期コスト」「整備完了までの工期」を設定しました。
- この結果、定性的な評価では「建替えパターンにして外部庁舎の集約」が最も評価の高い整備パターンとなりました。
- 定量的な評価では、短期的に比較すると改修パターンがコストは低いものの、長期的な視点で見ると建替えパターンに優位性があるとの結果となりました。
4「整備パターンの概要と特徴」
〈A. 建替えて外部の庁舎を集約〉
- 別敷地に新本庁舎を建設した後に現庁舎及び別庁舎の機能を移転するパターン
- 仮移転先は不要で、引越しは新庁舎完成後の1回のみ
- 新庁舎面積約88,700㎡
〈B. 建替えるが外部の庁舎集約はしない〉
- 別敷地に新本庁舎を建設した後に現庁舎のみの機能を移転、引越しは1回のみ
- 外部庁舎(民間ビル)の賃料は継続発生する
- 新庁舎面積約65,300㎡、現状の賃借面積8,900㎡が建替え後に約17,100㎡
〈C. 現庁舎改修と一部機能を移転新築〉
- 規模を限定した新庁舎を別敷地に建設し議会及び防災拠点機能を新庁舎に移転
- 仮移転先としても活用し現庁舎に移転
- 完了後に外部庁舎を集約
- 数フロアずつの改修のため、建物内引越しが複数回発生
- 外部庁舎(民間ビル)の賃料は不要
- 新庁舎面積約22,500㎡
〈D. 現庁舎改修〉
- 仮移転によって現庁舎を空けたうえで、改修をおこなう
- 数フロアずつの改修のため、建物内の引越しが複数回発生
- 仮移転先として議会の本会議場及び各委員会の会議室の確保が発生
- 外部庁舎(民間ビル)の賃料は継続発生
- 現庁舎と同面積で42,300㎡、現状の賃借面積約8,900㎡
5「あり方検討委員会で出された主な意見」
- 災害時にもエレベーターを使用せず移動できる低層部に市の災害対策本部室の設置
- 市役所は市民の空間であり、利用しやすい空間づくりと、不足している機能を今後の庁舎に追加する検討の必要性について
- 市職員の人材確保の観点から職場環境・執務環境の整備及び省エネやエネルギーマネジメントの検討について
- DX・GXのソフト面に加え、ハード面の整備方針の検討を行うこと
- 建設資材の高騰など社会情勢を考慮しながら今後の検討をすること
- 現市役所本庁舎の跡地活用についての検討
6「今後の進め方と課題」
- 提言を基に、行政及び議会が十分に検討及び協議し新たな市役所本庁舎の場所と庁舎の規模・財源・建設手法(PFI等)について市民にていねいに説明し理解を得る努力が必要です。
- 各区役所・区民センター等の建替え計画も併せて検討する必要があります。
- 今後、基本方針・基本計画を作成し、基本設計・実施設計に入り工事期間は約4年程度必要であり、最低10年後の竣工に向けた議論と準備をしていかなければなりません。
私は皆さまにこうした検討状況をこれからも情報提供し、ご意見等を頂きながら札幌市や議会に皆様の考えを反映していくために全力を尽くす所存です。