皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は災害時の避難困難者対策についてです。
【災害時の現状】
近年、日本国内では地震・豪雨災害等が多発しています。
これまで多くの災害が発生する中で、特に高齢者、病弱な人、障がい児・者、妊婦、乳幼児等がいる家庭等で一時避難場所に避難しづらい、できない人達が存在し、福祉避難場所のあり方等が大きな社会問題になっています。
【災害基本法の改正】
2021(R3)年5月に国会で災害基本法が改正され、避難がしづらい、できない人達の対策や介護・福祉サービス事業者にBCP(緊急事態に備えて事業を継続するための計画)が義務付けられました。
【改正のポイント】
今回の改正により災害発生時の避難行動、特に支援を要する方(要支援者)に係わる「個別避難計画」を概ね5年程度で作成することが市町村の努力義務になりました。
【個別避難計画とは】
高齢者や障がい者等の避難行動要支援者一人ひとりの状況に合わせて災害時に「誰が支援するのか」「どこに避難するのか」「避難する時にどのような配慮が必要となるのか」等を記載した個別の避難行動計画のことです。
【個別避難計画を作成する上での課題】
- 「個別避難計画」はほとんど市民に知られていません。
- 地域の支援者探しに懸念があります。
- 医療的ケアが必要な重度障がい児・者の避難場所の明確化が必要です。
- 福祉専門職員等の防災知識の不足。
- 地震や風水害等の各ハザードマップで災害危険度を事前に確認すること。
- 避難場所までの安全な避難路と自動車又は徒歩など確実な避難手段の確認作業について。
- 要支援者だけでなく支援者自身の命を守る計画の策定について。
- 優先度の高い要支援者は札幌市内に約1,800人います。例えば、①各ハザードマップのレッドゾーンに居住している人→②本人の要介護度が高い人→③支援者からの支援度が低い人から作成することが重要です。
【個別避難計画作成後の確認】
- 避難場所や避難路・手段の確保と避難支援等の実施に必要なことが記載されていることの確認。
- 可能な範囲で本人・家族・避難支援者・ケアマネージャー等と一緒に計画内容に沿った避難訓練を実施し、避難の実効性の確保と内容の改善に向けた取組を行うこと。
【介護保険及び福祉サービス事業者へのBCP義務付け】
目的
- 感染症や災害への対応力強化
- 業務継続に向けた取組の強化
感染症や災害が発生した場合であっても必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護事業者を対象に業務継続に向けた計画等を策定し研修の実施、訓練の実施等を義務付け、3年間の経過措置期間を設けています。
【これまでの福祉避難場所の問題点】
- 福祉避難場所は2次避難場所のため、災害が発生してから開設までのあいだに数日を要すること。
- 一般避難場所に行けない認知症高齢者、知的精神障がい児・者、幼児等の受け入れ。
- 一時避難場所にて体調が悪くなった人の移送に関係機関との多大な調整・労力・時間を要していること。
- 対象となる人が、直接福祉避難場所に行けない現状。
- 福祉施設自体が福祉避難場所を開設できないのか。
【福祉避難場所の新たな方向性として】
- 高齢者・障がい児・者等の個別避難計画で福祉避難所施設との事前相談を行う研修の検討。
- 事前相談ができた方については直接避難を受け入れることの検討。
- 福祉避難所の負担軽減のため受け入れ方を限定した公示を行う検討。※例えば、○○○特別養護老人ホーム(高齢者限定)や○○○特別支援学校(障がい児・者限定)等。
現在、札幌市は災害時における「個別避難計画」の作成に向けた事業の民間委託契約がプロポーザル方式で行われています。
私はこれからも、札幌市の災害時の避難困難者対策について進捗状況を確認していく所存です。