皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は環状通エルムトンネル非常用発電設備の事故と改善についてです。
【札幌市内の管理所管別のトンネル】
①札幌市所管
- 環状通エルムトンネル 730m
- 創成トンネル 1,078m
- 盤渓北ノ沢トンネル 1,612m
- 他13トンネル
②北海道開発局
- 定山渓トンネル 1,124m
- 他4トンネル
③北海道
- 朝里峠トンネル 615m
以上、市内には自動車が通行できるトンネルが22箇所あります。
【地下トンネル】
22箇所のトンネルの内、環状通エルムトンネルと創成トンネルは地下トンネル、それ以外は山間部のトンネルとなっています。
【環状通エルムトンネルの概要】
同トンネルは北海道大学キャンパスの地下にトンネル方式で1997(H9)年4月に着工し、2001(H13)年7月に開通した自動車専用道路として整備されました。
【同トンネルの停電事故と原因】
- 2015(H27)年12月25日(金)、午前10時30分頃、北海道大学敷地内地上部の換気所付近の送電線3本のうち1本が損傷し停電が発生、約11時間後の午後10時頃に復旧しました。
- 原因は経年劣化等が要因とされています。
【札幌市の対応】
- 停電による異常を確認後、直ちに非常用発電機での電力需給に切り替えを行いトンネル内の道路照明、排水設備等を維持する対策を取りました。
- 同時に非常用発電機の燃料(A重油)の給油を業者に依頼しました。
【非常用発電機と燃料タンクの仕様】
- ガスタービン発電機(500KVA)1台:自動車が走行するトンネルの地下2階に設置されています。
- 燃料タンクA重油・3,000ℓ(連続運転12時間分):設置位置は地下1階ですが、給油口はタンクローリーが通れる地下2階に設置されています。
- 地下2階に設置されている給油口から地下1階にある燃料タンクに、燃料移送ポンプを使用し供給しています。
【排水ポンプの性能】
- 1時間に500mmの降雨に対応できるポンプ3台設置しています。
- 排水槽は200㎥の貯水容量を有しています。
私は2015(H27)年12月25日の停電事故発生後の翌年に当時の状況を調査した結果、次の様な問題点が明らかになってきました。
【非常用発電機燃料給油時の問題点】
- トンネル内の中央部にあるタンクローリー車専用引き込み誘導路(30m)に入るスチール製の扉が、サビ等により全開できず車両が中に入れなかったこと。
- 上記の状況に加えて「カムロック用・2インチホース」の長さが10~15mであった為、給油口まで届かなかったこと。
- これに対応するため「1.5インチ給油ガン付きホース」の別車両で給油を行っています(消防法違反)。
- 地下2階の給油口から地下1階にある燃料タンクに重油Aを送る燃料移送ポンプの性能が悪く、さらに給油管が細いため「給油ガン」を全握りすると重油があふれてしまいます。また、燃料タンクの残量も不明だったため、半握りで断続的に給油し3,000ℓ満タンになるまで約8時間かかったことが判明しました(結果として約800ℓの給油でした)。
事故当時、トンネルの通行止めをしなかったので市民からの苦情はなく、大きな社会問題にはなりませんでした。
私は、札幌市の建設局に対し「今回の事故が大雨の時と重なった場合、人命や安全対策上、問題なので原因究明と改善策を速やかに対応すること」を指摘し、定期的に報告を求めてきました。
この間、停電の原因となった送電線の修繕及び個別施設の修繕・整備・改修計画や保守基準の策定と運用マニュアルの策定が進められ、重要機器とあわせて予防保全対策を強化しています。
この結果、当該設備は30年周期で更新する予定となっています。
【今後の改善策について】
- 給油口を現在の地下2階から地上部の換気塔付近に設置することが決定しました。
- 上記は2026(R8)年度に実施設計を行い2年後に工事着工する予定となりました。
ここ数年、地球温暖化等による「線状降水帯」による大雨の被害が毎年多発しています。
北海道でも今年9月に「線状降水帯」が発生する可能性があるとの気象予報が出されましたが、幸いにも発生しませんでした。
私はこれからも札幌市の危機管理対策及び道路・トンネル・橋梁・下水・水道施設等の安全対策と維持管理にしっかり取り組んでいく所存です。