皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。
今回は「札幌市の電子契約導入に向けて」です。
【契約書とは】
- 契約書とは、特定の法律により義務付けられているものではありません。
- 民法522条「契約自由の原則」に基づいて、当事者の合意があれば口約束だけでも成立します。
- しかし、売買契約や請負契約のように、特定の契約内容に関する民法や商法など特別法(例えば消費者契約法等)のルールを踏まえる必要があります。
【紙の契約書】
- 「紙の契約書」は当事者で合意した内容を記録するため、紙の書類に印鑑を押して交わすものです。
- 契約金額によって収入印紙の金額が変わります。
【電子契約】
- 「電子契約」は紙の契約書の代わりに、PDFファイルなどの電子データに電子署名を行うことで、紙の契約書と同じように法的な証拠力が認められる契約方法です。
- 同契約は、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律に基づくものです。
- 同契約では収入印紙が不要となります。
【電子契約のメリット】
- 電子契約は紙契約書が不要になるため、書類などの保管コストが削減されます。
- 受注者が発注者の契約担当課等へ契約書などの書類を持参する手間が解消され、受注者のみならず発注者にとってもメリットがあります。
【札幌市発注の公共工事では】
- 札幌市の公共工事は年間約1,000件前後で、昨年度は1,118件発注しています。
- 1件の同工事で受注者業者が書類を持参する回数は最低でも3回(契約書交付・契約書提出・受渡し請求)3往復となります。
- 標準的な工事においても設計変更が2回程度あることから、工事1件につき②と合わせて札幌市役所等に7往復が必要となります。
- 建設業界では技術者だけでなく事務職の人材確保が難しく、入札繁忙期は対応に苦慮しています。
【札幌市の電子契約導入の問題点】
札幌市の現在の庁内ネットワークには「無害化システム」が導入されており、外部とのデータのやりとりには一定の制限があります。
そのため、札幌市が電子契約システムを導入するにあたっては、次の2点の課題が生じています。
- セキュリティ対策・・・「無害化システム」はコンピュータウィルスの侵入を防ぐためのものです。インターネット上のファイルを庁内ネットワークに取り込む際には、必ず「無害化システム」を通す必要があります。
- 電子署名を無効化させない・・・PDFファイルを「無害化システム」を通すと、PDFに施された電子署名(電子印影やタイムスタンプ)が無害化処理によって失われ、電子署名が無効化されてしまいます。
【課題の改善策について】
- 新たな庁内ネットワークを導入し、「無害化システム」に代わる、より高度で新たなウィルス対策(素早い検知・常時監視・不審な通信の遮断)を行うことによってセキュリティを維持することができ、市職員の利便性も向上されます。
- 新たな庁内ネットワークによって、職員は業務でインターネットを活用し、またインターネット上にあるPDFファイルなどを「電子署名」に影響を与えることなくダウンロードすることが可能になります。
私はこの問題を2年前から議会質問で取り上げてきました。
今月7日の財政局決算特別委員会において再度質問し「電子契約」の導入を2026年4月1日から実現できるよう全力を尽くす所存です。