2025年10月20日月曜日

新施設について

皆様こんにちは。
札幌市議会議員 ふじわら広昭です。

今回は(仮称)新スケート・カーリング場整備計画についてです。


【新施設は美香保体育館の代替施設】

  • 美香保体育館は、1972年の札幌冬季オリンピックの開催に併せて建設され、2030年頃に建物や設備の更新時期を迎えることから、新施設の整備基本計画が策定されました。
  • 美香保体育館は現在、夏季は卓球・バスケットボール・バドミントン等、冬季はフィギュアスケート・ショートトラック・カーリングが行われ、年間利用者数は夏季・冬季ともに約4万人、合計約8万人程度が利用しています。
  • 年間を通じて、市内大会をはじめ北海道大会の地区予選や本選などが開催されています。


【美香保体育館の課題】

  • 建設されてから今年で54年になり建物やスケートリンク等、冷凍設備の更新が必要な状況です。
  • 特にスケートリンクは建物の断熱性能が不足していることなどから夏季の使用が難しい状況です。
  • 各種大会時には、更衣室や選手控室の諸室のほか、ウォーミングアップスペース、駐車場の不足等が課題となっています。


【新スケート・カーリング場整備の方向性】

方向性1
    ① スケートリンクの維持・強化。
    ② 国際競技連盟基準(60m×30m)とする。

方向性2
    ① カーリング機能の拡充。
    ② シート数5シート(寸法は世界カーリング連盟基準)とする。

方向性3
    ① 民間活力(PFI等)を活かし施設整備を行う。
    ② 具体的にはBD+O方式(資金は札幌市調達、設計・建設・維持管理・アイスメイクは民間)を採用する。 

方向性4
    ① 競技大会等に対応可能な観客席を確保する。
    ② スケートリンク場は約300~500席、カーリング会場は約200席を基準とする。

方向性5
    ① 更新施設は地域交流拠点(公共交通、行政機能、民間施設)や高次機能交流拠点(国際的・広域的な都市機能)と連携した整備と札幌市の魅力向上をはかる。
    ② 具体的には「つどーむ」がある敷地内で「つどーむ」の正面玄関の左手側の敷地に建設する予定で進める。


【概算整備事業】

  • 現時点で約93億円(税込・外構工事費を含む)。
  • 設計費・工事管理費を含む。
  • 物価変動等による資材、人件費の変更により金額が増減する。


【今後の課題】

  1. 同施設のうち、カーリングリンクでは高いレベルのアイスメイク(製氷)技術が求められますが、札幌が求めるレベルの技術を満たす民間事業者は、将来的に確保できる可能性はあるものの現時点ではないことが判明しています。
  2. 工事の入札不調及び建設従事者の不足等による着工と竣工の遅れが想定されます。
  3. 今後の雪まつり第2会場の選定変更等も検討する必要があります。


【今後の事業スケジュール】

  • 2025年度-要求水準等の検討
  • 2026年度-事業者選定
  • 2027年度~2030年度-設計・建設
  • 2030年度後半の供用開始予定


現在、フィギュアスケートの夏季練習をするために、泊村をはじめ遠方の施設を利用されている市民や、カーリングの競技人口及び体験される市内外の方が増えています。

そのため、私は少しでも良い施設を早く完成するよう、同施設の性能等を定める要求や水準等のチェックを議会でしっかり対応していく所存です。


また、新しい施設が完成しますと現美香保体育館の解体が始まります。

跡地の利活用と、1972年札幌冬季オリンピック施設としてのメモリアルを同一敷地内に設置できるよう市民の皆様とともに活動していく決意です。

2025年10月5日日曜日

電子契約について

皆様こんにちは。
札幌市議会議員ふじわら広昭です。

今回は「札幌市の電子契約導入に向けて」です。


【契約書とは】

  1. 契約書とは、特定の法律により義務付けられているものではありません。
  2. 民法522条「契約自由の原則」に基づいて、当事者の合意があれば口約束だけでも成立します。
  3. しかし、売買契約や請負契約のように、特定の契約内容に関する民法や商法など特別法(例えば消費者契約法等)のルールを踏まえる必要があります。


【紙の契約書】

  1. 「紙の契約書」は当事者で合意した内容を記録するため、紙の書類に印鑑を押して交わすものです。
  2. 契約金額によって収入印紙の金額が変わります。


【電子契約】

  1. 「電子契約」は紙の契約書の代わりに、PDFファイルなどの電子データに電子署名を行うことで、紙の契約書と同じように法的な証拠力が認められる契約方法です。
  2. 同契約は、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律に基づくものです。
  3. 同契約では収入印紙が不要となります。


【電子契約のメリット】

  1. 電子契約は紙契約書が不要になるため、書類などの保管コストが削減されます。
  2. 受注者が発注者の契約担当課等へ契約書などの書類を持参する手間が解消され、受注者のみならず発注者にとってもメリットがあります。


【札幌市発注の公共工事では】

  1. 札幌市の公共工事は年間約1,000件前後で、昨年度は1,118件発注しています。
  2. 1件の同工事で受注者業者が書類を持参する回数は最低でも3回(契約書交付・契約書提出・受渡し請求)3往復となります。
  3. 標準的な工事においても設計変更が2回程度あることから、工事1件につき②と合わせて札幌市役所等に7往復が必要となります。
  4. 建設業界では技術者だけでなく事務職の人材確保が難しく、入札繁忙期は対応に苦慮しています。


【札幌市の電子契約導入の問題点】

札幌市の現在の庁内ネットワークには「無害化システム」が導入されており、外部とのデータのやりとりには一定の制限があります。

そのため、札幌市が電子契約システムを導入するにあたっては、次の2点の課題が生じています。

  1. セキュリティ対策・・・「無害化システム」はコンピュータウィルスの侵入を防ぐためのものです。インターネット上のファイルを庁内ネットワークに取り込む際には、必ず「無害化システム」を通す必要があります。
  2. 電子署名を無効化させない・・・PDFファイルを「無害化システム」を通すと、PDFに施された電子署名(電子印影やタイムスタンプ)が無害化処理によって失われ、電子署名が無効化されてしまいます。


【課題の改善策について】

  1. 新たな庁内ネットワークを導入し、「無害化システム」に代わる、より高度で新たなウィルス対策(素早い検知・常時監視・不審な通信の遮断)を行うことによってセキュリティを維持することができ、市職員の利便性も向上されます。
  2. 新たな庁内ネットワークによって、職員は業務でインターネットを活用し、またインターネット上にあるPDFファイルなどを「電子署名」に影響を与えることなくダウンロードすることが可能になります。


私はこの問題を2年前から議会質問で取り上げてきました。

今月7日の財政局決算特別委員会において再度質問し「電子契約」の導入を2026年4月1日から実現できるよう全力を尽くす所存です。