2025年3月5日水曜日

札幌市消防局ヘリコプター2機体制について

皆様こんにちは。
札幌市議会議員 ふじわら広昭です。

今回は札幌市消防局の2機目のヘリコプター導入の課題についてです。

札幌市消防局は市内に10消防署と41の消防出張所が所在し約1,500人の職員が24時間・365日、交代で火災や救急等出動に対応しています。

主な機動力は消防関係車両221台中救急車両47台、ヘリコプター2機となっています。(内1機はリース契約)

札幌市の消防用ヘリコプターは1991(H3)年に運航を開始し、2009(H21)年からは新機体を加えた合計2機体で常に稼働できる体制を整え、空からも市民の安全と安心な生活を守ってきました。

2019(R元)年本州にヘリコプター1機を定期整備に出していた時に台風により被災し、機体が使用不能となってからは、運航体制を復旧すべく2機目導入に向けた調整を進め、昨年ようやく入札を実施したものの、入札実施後にメーカー代理店から入札・契約等審議委員会に苦情が申立てられた結果、札幌市は同委員会の提案を受け入れて機体調達を中止しました。


【札幌市に寄せられた主な苦情の内容】

現時点で運用最低外気温度がマイナス40℃でも安全に飛行できるエンジンと機体を仕様書で条件としたことでした。


【なぜ運用最低外気温度マイナス40℃を条件としたのか】

日本国内の消防用ヘリコプターの大半が富士山など高い山での捜索・救助等に対応できる性能を確保するためです。

また、札幌市消防局が現在所有するヘリコプターも運用最低外気温度マイナス40℃で飛行できる機種となっているためです。

同消防局のヘリコプターは札幌市内だけでなく要請があれば市外・道外にも出動する場合もあります。


【委員会の提案】

  1. 求める性能自体は、政府調達の協定に反しない
  2. 納入時までに性能を満たしていればよく、入札時点で実現できていないからといって入札参加を否定すべきではない

という内容でした。

委員会が指摘するように、入札時点で札幌市が求める性能を満たしていない事業者も入札に参加できるようになるのであれば、事前により多くの事業者から情報収集を行った上で、札幌市が求める性能を満たす手法等を仕様書に盛り込むなどして、調達の円滑化を図るべきと思います。

今回の消防用ヘリコプターの購入費用は約3,600万円以上となるためWTO(政府調達)案件となり、海外のメーカーも応札が可能となっています。

しかし、消防用ヘリコプターを製造している会社は国外を含めても数社しかなく、運用最低外気温度マイナス40℃対応の機種はさらに限られます。

例えば入札で落札したメーカーが運用最低外気温度マイナス40℃以下のエンジン性能等の機体を改良して指定された納入期日までに納入可能としたとしても、結果として納入できない、あるいは納入が大幅に遅れることになった場合は消防体制に大きな支障が生じると思います。

消防用ヘリコプターも法律に基づく整備点検で長期間使用できなくなりますので、最低2機体制を確保していく必要があります。

消防用ヘリコプターは札幌市の消防・救急活動に欠くことのできないものとなっており、また道内外における巨大地震など、大規模災害の発生リスクが高まっていることも踏まえると、消防用ヘリコプターに必要な機能が十分に備わっていないレンタル機で一時的に補完するのではなく、一刻も早い消防航空体制の復旧が必要です。

消防用ヘリコプターは負傷者や消防航空隊員の大切な命を乗せるものです。

私はこれからも、安全な運航に必要な仕様書を事業者にしっかり示した上で、必要な性能を備える機体を最短のスケジュールで調達するため、全力を尽くす所存です。